鍼灸治療は、日本・中国・韓国などアジアだけでなく、アメリカ・ドイツ・フランスなどの欧米にも広がり、現在世界100ヵ国以上で採用されている地球上、最も普及した伝統医療になっています。1997年にはアメリカ国立衛生研究所(NIH)が、鍼灸治療の有用性に関する声明を発表しています。
鍼灸の治療目的は苦痛を緩和し、本来の回復力を引き出すことにあります。それにはお身体の診察がとても大切で、「四診」により病気の反応がどのようなところに現れているのかを探り、その反応をもとに治療を行って症状の変化を観察していきます。
「四診」とは
当院ではこの「四診」を行うことによって、身体全体をくまなく観察し、実際に患者さんの身体に触れて得た情報と、その他の情報を総合して「証」をたて、治療を行います。
最近、NIH(米国 国立衛生研究所)の見解として鍼灸療法の各種の病気に対する効果とその科学的根拠、西洋医学の代替治療として効果について有効であると発表しました。鍼灸療法で有効性がある病気には、下記のものがあります。
【神経系疾患】
◎神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー
【運動器系疾患】
関節炎・◎リウマチ・◎頚肩腕症候群・◎頚椎捻挫後遺症・◎五十肩・腱鞘炎・◎腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
【循環器系疾患】
心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
【呼吸器系疾患】
気管支炎・喘息・風邪および予防
【消化器系疾患】
胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾
【代謝内分秘系疾患】
バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血
【生殖、泌尿器系疾患】
膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
【婦人科系疾患】
更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊
【耳鼻咽喉科系疾患】
中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎
【眼科系疾患】
眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい
【小児科疾患】
小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善
上記疾患のうち「◎神経痛・◎リウマチ・◎頚肩腕症候群・◎頚椎捻挫後遺症・◎五十肩・◎腰痛」は、医師の同意のもとで鍼灸の健康保険の適用が認められています。
「はりの響き」
鍼を経穴(ツボ)に打つと身体の奥底から「ズーン」と響くような刺激が現れます。これを「はりの響き」とよび、中国伝統医学では「気至病所」(病のある場所に気が至る)とされ治療効果に重要な役割があるとされています。もちろん初めて鍼を受けられる方や響きが苦手な方もいらっしゃいますので、治療の際は患者さんとご相談しながら刺激量を決めていくのでご安心ください。
「置鍼(ちしん)」
置鍼とは鍼を経穴(ツボ)に打った後、10~15分程度安静にしていただく状態を指します。東洋医学的には鍼により気を巡らす効果があります。現代医学的には、緊張した筋肉を緩め、血流を改善させることにより発痛物質を除去し、自律神経(交感・副交感神経)への調整作用があります。
施術後の注意点